
このページでは、AGA(男性型脱毛症)の治療で使われるデュタステリドについて、添付文書・公的資料ベースで「何の薬か/どれくらいで効くか/副作用は何がどれくらいか/フィナステリドと何が違うか」を整理します。
※この記事の内容は「一般的な医学情報」であり、特定の薬剤や治療を勧めるものではありません。実際に治療を始めたり変更したりする場合は、必ず医師と相談してください。

2008年に銀座総合美容クリニックを開院し2021年までに185万人と多くの診療実績があります。正木院長自ら日々外来を行うことで、膨大な症例データと診療経験をもとに診療を行っています。治療においては内服薬だけでなくメソセラピーやLEDを用いた治療など、300種類を超える多種多様な治療術をもち、また紫外線によるAGA検査機器スキャビジョンを独自の特許技術を用い開発し日々の診療に取り入れています。
【略歴】
平成14年 岡山大学医学部卒
平成20年 銀座総合美容クリニック 開院
【所属学会】
日本形成外科学会 正会員
日本臨床毛髪学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員
監修日:
監修範囲について:
本記事における医師監修は、AGAの基礎知識・受診や治療の考え方・治療薬等の医療情報に関する記載の確認を対象としています。クリニック・サービス・商品等の掲載や選定(おすすめ・ランキング等を含む)は編集部の独自基準によるもので、監修医師が関与・選定したものではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 薬の種類 | 5α還元酵素(1型/2型)阻害薬 |
| 目的 | AGAの進行を抑える(DHT生成を抑制) |
| 適応 | 男性における男性型脱毛症(他の脱毛症は適応外) |
| 用法用量 | 通常0.1mgを1日1回、必要に応じ0.5mgを1日1回 |
| 効果判定の目安 | 12週で変化が出ることもあるが、通常6か月の治療が必要 |
| 禁忌(飲めない) | 女性/小児等/重度肝機能障害/過敏症既往 |
| 重要注意 | PSAに影響(検査時は申告)/カプセル内容物に女性・小児が触れない |
デュタステリドは、もともと前立腺肥大症(BPH)の治療薬として開発・使用されてきた成分です。日本では2009年に、デュタステリドを有効成分とする前立腺肥大症治療薬 「アボルブ」が承認されています(海外名は「AVODART(アボダート)」)。
その後、AGA領域でも有用性が確認され、日本では2015年にデュタステリド製剤 「ザガーロ」がAGA治療薬として承認され、2016年に発売されています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2009年 | 前立腺肥大症治療薬「アボルブ(デュタステリド)」承認 |
| 2015年 | AGA治療薬「ザガーロ(デュタステリド)」承認 |
| 2016年 | 「ザガーロ」発売開始 |
| その後 | ザガーロの後発医薬品(ジェネリック)も国内で流通(AGA適応での製品が複数) |
※重要:アボルブ(前立腺肥大症の薬)をAGA目的で使うのは“適応外(オフラベル:厚生労働省が承認した添付文書の記載事項(効能・効果、用法・用量など)以外の目的で、医師が医薬品を使用すること)”です。扱いは医療機関の判断になります。

AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用し、ヘアサイクルを短縮させることが関与するとされています。DHTは、男性ホルモン「テストステロン」が 5α還元酵素の働きで変換されて生じます。
デュタステリドは、この5α還元酵素の働きを阻害すると言われています。
この違いが、DHT抑制の強さや、薬の体内滞在(半減期の長さ)と合わせて、効果に差を生み出します。
国際共同試験(Norwood-Hamilton IIIv/IV/V)では、頭頂部の一定範囲(直径2.54cm円内)の毛髪数が、24週時点で増加しています。
| 24週時点の毛髪数変化(調整済み平均) | 変化量 |
|---|---|
| プラセボ | -4.9本 |
| フィナステリド 1mg | +56.5本 |
| デュタステリド 0.1mg | +63.0本 |
| デュタステリド 0.5mg | +89.6本 |
※上の数値は“頭頂部の一定範囲のカウント”で、見た目の印象は個人差があります(毛質・密度・部位・進行度など)。

日本でAGA治療薬として承認されているデュタステリド(ザガーロ等)は、添付文書上、以下が基本です。
| 項目 | 基本内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 服用回数 タイミング |
1日1回、決めた時間に服用 | 食事の影響は臨床上大きくないとされる/朝でも夜でもOK(続けやすい時間に固定) |
| 用量 (開始) |
通常0.1mgを1日1回 | 男性成人:デュタステリドとして0.1mgを1日1回経口投与 |
| 用量 (増量) |
必要に応じて0.5mgを1日1回 | 「まず0.1mgで開始 → 医師判断で0.5mgへ」が基本線 |
| 効果判定 の目安 |
通常6か月を目安に評価 | 定期的に効果確認しながら継続判断 |
| 中止検討 | 6か月以上投与しても改善がみられない場合は中止を検討 | 医師と相談し、継続メリットがあるか見直す |
| 取り扱い 注意 |
カプセル破損で内容物が漏れた場合、女性や小児が触れない | 触れたら石鹸と水で洗浄 |
| 食前・食後 | 食前・食後どちらでもOK | 毎日同じ条件に揃えると管理しやすい |
0.5mgのほうが毛髪数の増加が大きく出た試験データはありますが、一方で用量を上げるほど副作用のリスクも高まるので、効果・副作用・既往歴・併用薬・目的(進行抑制なのか上積み狙いなのか)を踏まえて、医師が判断します。
| 発現頻度 | 症状例 |
|---|---|
| 1%以上 | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)、頭痛、抑うつ気分 |
| 1%未満 | 発疹、腹部不快感 |
| 頻度不明 | 蕁麻疹、血管性浮腫、精巣痛など |
デュタステリドはPSA値に影響します。健康診断などで前立腺がん検査を行う場合は必ずデュタステリドを服用していることを医師に伝えるようにしましょう。
女性への投与は禁忌です。誤って触れたり、服用した場合、男子胎児の外生殖器発達を阻害する可能性が示唆されています。
また、精液中への移行データ(精液中/血清中比が平均11.5%)も公表されているので、妊活中の服用も一旦停止した方がいいでしょう。
デュタステリドは主に肝臓で代謝され、CYP3A4阻害薬との併用で血中濃度が上がる可能性が示されています。
服用中は献血しない、さらに最後の服用から少なくとも6か月は献血しないようにすべきとされています。(妊娠女性への輸血曝露を避ける目的)。

| 比較軸 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 作用点 | 5α還元酵素(主に2型) | 5α還元酵素(1型/2型) |
| 期待できる役割 | 進行抑制の主軸 | より強いDHT抑制が期待されることがある |
| 効果データの見え方 | 例:24週で毛髪数増加 | 例:24週で0.5mgがより増加 |
| 半減期 | 短め(一般に数時間) | 長い(約5週間) |
| 献血制限 | 比較的短い扱いが多い | 長め(例:6か月) |
海外では、国やメーカーにより製品名が異なります。
自由診療での処方が一般的です。費用は医療機関で差があります。
| 医療機関 | 薬剤 | 目安 |
|---|---|---|
| 銀座総合美容クリニック | デュタステリド(内服薬D) | 1か月 8,250円(税込) |
| 湘南美容クリニック | デュタステリド錠 | 1か月 6,500円(2回目以降) |
| Dクリニック | デュタステリド(国内正規品) | 1か月 9,900円(税込) |
| AGAスキンクリニック | タブレットD(デュタステリド内服薬) | 1か月 9,800〜14,000円(契約期間で変動) |
| DMMオンラインクリニック | デュタステリド0.6mg(単剤) | 1か月 3,117〜5,390円(税込) |
| クリニックフォア | デュタステリド 国内後発品 | 1か月 8,140円(税込) |
| レバクリ | デュタステリド内服(30錠) | 1か月 2,856〜5,500円(税込) |
| Oops | デュタステリド0.5mg(国内承認) | 1か月 5,478〜9,075円(税込) |
価格面のメリットを語られがちですが、偽造品・品質ブレ・健康被害時の自己責任など、デメリットの部分が大きいです。
参考文献・参照元
12週で変化が見られる場合もありますが、効果評価には通常6か月が必要とされています。
添付文書上は、6か月以上投与しても改善が見られない場合は中止を検討し、継続する場合も定期的に効果確認を行う、とされています。
基本はDHTを抑えて進行を抑える薬です。結果として毛髪数が増えるデータはありますが、「攻めの発毛」を狙う治療(例:ミノキシジル)とは役割が違います。
添付文書の区分では、性機能不全(リビドー減退・勃起不全・射精障害)や頭痛、抑うつ気分が「1%以上」に分類されています。
薬の作用で抑えていたDHT関連の影響が時間とともに戻りうるため、一般に効果維持には継続が前提になります(個別の判断は医師と相談が必要です)。半減期が長い点も特徴です。
FDAラベルでは、服用中は献血せず、最後の服用から少なくとも6か月は献血しないとされています。
PSAに影響するため、検査を行う医師に服用を必ず伝える必要があります。評価方法の注意も添付文書に記載されています。
有効成分は同じデュタステリドです。剤形や添加剤、供給体制などが異なる場合があります。